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ハナのゆくえ

090608_hananoyukue_s.jpg

電車の中、花束をもつ人あり。

朝、
出勤途中の総武線各駅停車、
鮮やかなオレンジや黄色が目にとびこむ。
ドアの近くに座り込み、花束を握りしめている男。

あおくさい匂いが、そこからたちのぼっている
私のからだにつけた夏の香りの香水と混ざる

ぷちん。ぷちん。

その男は、どこをみているのか
どんな気持ちなのかよくわからない瞳をしていて
浅黒い手で、ひたすらに、握りしめたあざやかな花束の
みどりの葉っぱの部分、茎の部分を、ぷちん。ぷちん。とちぎる
それをスーパーの袋にいれる
ひっくり返してばらばらと、床にひろげる。

その行為をくりかえしていた。

どこで摘んできたのだろう、そのハナは
どこにいくんだろう、その男は

みどりの匂いは確かに
朝のキイロい電車のなかを香っていたけれど

つりかわをつかむ背広も
座って携帯をみる爪のきれいな女も

みんなしらんぷり
だんまりを決め込んでいた。

夜、
楽しい一日の終わり帰宅途中の電車の中、
花の香りが乗り込んできた。

沢山のセーラー服と笑い声。
黒い楽器ケースがほこらしげだ。

「ここは先輩を優先したいっす、わるいっす」とトロンボーン男子。
「いいよ、何いってんの、すわれすわれ~」とトランペット女子達。

さわやかで、かわいらしい。

近くにいた女の子。
抱える花束には
「ピッコロ、佐藤○○様」と手書きのカード。

うれしいね。

その花は、
今日の夕飯の食卓の真ん中で、香るのだろう。
ハンバーグか海老フライか何かの並ぶ、広いテーブルの真ん中で。

電車の中、花束を持つ人あり。
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